【デジタル遺言】パソコン・スマホで作れる「保管証書遺言」とは?メリットと注意点をわかりやすく解説

「手書きで遺言書を書くのは大変…」 「パソコンやスマホで気軽に作れたらいいのに」
そう感じている方に、朗報があります。
2026年4月、パソコンやスマートフォンで作成できる新しい遺言制度「保管証書遺言(デジタル遺言)」を盛り込んだ民法改正案が閣議決定され、現在国会で審議が進んでいます。
今回は、この新制度の概要と従来の遺言との違い、メリット・注意点をわかりやすく解説します。
1. 保管証書遺言(デジタル遺言)とは?
「保管証書遺言」とは、2026年1月に法制審議会民法(遺言関係)部会で要綱案がまとめられた、新しい方式の遺言制度です。
従来の「自筆証書遺言」は全文を手書きで書く必要がありましたが、保管証書遺言ではパソコン・スマートフォン等で本文を作成でき、作成したデータを法務局(遺言書保管所)へ提出・保管することで効力をもつ仕組みです。
現行の遺言方式は「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類ですが、今回の民法改正により「保管証書遺言」が第4の選択肢として加わる予定です。
注意:法務省が現在運営している「自筆証書遺言書保管制度」は、手書きの自筆証書遺言を法務局に預ける既存の制度です。今回ご紹介する「保管証書遺言(デジタル遺言)」は、これとは異なる新しい制度です。混同しないようご注意ください。
2. 3つの遺言形式の比較
| 自筆証書遺言 | 保管証書遺言(新制度) | 公正証書遺言 | |
| 作成方法 | 全文手書き | PC・スマホで作成可 | 公証人が作成 |
| 保管場所 | 自宅 or 法務局へ持参 | 法務局への提出が必須 | 公証役場 |
| 検認手続き | 原則必要(法務局保管なら不要) | 不要 | 不要 |
| 費用 | 無料(法務局保管は3,900円) | 未定 | 数万円〜 |
3. 保管証書遺言の3大メリット
① 手書きの負担が大幅に減る
高齢の方や体調に不安がある方にとって、長文を手書きすることは大きな負担でした。パソコンやスマートフォンで入力できれば、修正も簡単で、より正確な遺言書を作成しやすくなります。
② 紛失・改ざん・隠匿のリスクがない
作成データは法務局で長期にわたり安全に管理されます。法務省の既存制度でも、原本は遺言者死亡後50年間、画像データは150年間保管されます。誰かに勝手に書き換えられたり、破棄されるおそれがありません。
③ 相続後の「検認手続き」が不要
法務局で管理される遺言書については、相続発生後に家庭裁判所で「検認」を受ける必要がなく、スムーズに相続手続きを進めることができます。
4. 注意すべきポイント
本人確認が厳格に行われる
なりすましや強迫による作成を防ぐため、法務局での厳格な本人確認が義務付けられる見込みです。手軽に作れる分、確認プロセスはしっかりと設けられます。
「内容の妥当性」は審査されない
法務省が現在公表している制度説明にも明記されているとおり、法務局がチェックするのは形式面のみであり、遺言の内容について相談に応じることはできません。また、保管された遺言書の有効性を保証するものではありません。
具体的には、次のような点は自分で検討・判断する必要があります。
- 遺留分に配慮した分け方になっているか
- 財産の指定に漏れや矛盾がないか
- 相続人の間でトラブルが起きない内容か
5. まとめ:デジタル時代も「遺言の中身」が最重要
保管証書遺言(デジタル遺言)の導入により、遺言書を作成する心理的・物理的なハードルは大きく下がります。
しかし「形式が簡単になったからこそ、内容をよく検討せずに作成してしまい、後からトラブルになる」というリスクも懸念されています。
「どんな内容にすれば家族が困らないか」は、作成前に専門家へ相談しておくことが大切です。
江森事務所では、遺言書の内容のご相談から作成サポートまで、お客様の事情に寄り添ったアドバイスを行っています。さいたま市・川崎市を中心に幅広いエリアで対応していますので、お気軽にご相談ください。
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※本記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。民法改正案は現在国会審議中であり、内容は今後変更される可能性があります。最新情報は法務省の公表資料をご確認ください。