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【会社法改正の最新動向】取締役の賠償責任に「上限」が設けられる?経営判断を守る新制度とは

こんにちは。行政書士 江森事務所です。
「取締役になったら、会社が損害を受けたとき個人で何億円も払わされるリスクがある」——そんな話を聞いたことはありませんか?
実は、これは決して大げさな話ではありません。過去には、原子力発電所の事故をめぐる株主代表訴訟で13兆円超の賠償義務が認められた例や、粉飾決算に関する訴訟で約594億円の賠償命令が出た例があります。
こうした状況を受け、政府は会社法を改正し、取締役が負う損害賠償額に上限を設ける方向で検討を進めています。今回は、この改正の背景と内容をわかりやすく解説します。

  1. 1.そもそも、取締役はなぜ賠償責任を負うのか

    会社法第423条1項は、「取締役はその任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定めています。
    つまり、取締役が経営判断を誤って会社に損害を与えた場合、個人として賠償責任を負うことがあるのです。
    さらに、株主は「株主代表訴訟」という制度を使い、取締役個人に対して賠償を求める訴えを会社に代わって起こすことができます。判決で賠償義務が認められた場合は、取締役が自らの資産から支払わなければなりません。

  2. 2.現行法での「責任免除・軽減」の仕組み

    現在の会社法にも、責任を一定程度軽減する仕組みはあります。取締役が「善意かつ重大な過失がない」場合は、次のような手続きで責任を免除・軽減することができます。


    方法
    概要
    総株主の同意による免除
      全株主が同意すれば全額免除できるが、現実的には難しい
    ・株主総会の特別決議による一部免除
      一定額(最低責任限度額)を超える部分を免除できる
    ・取締役会決議による一部免除(定款の定めが必要)
      定款に定めがあれば、取締役会決議で一部免除が可能
    ・責任限定契約(非業務執行取締役等が対象)
      社外取締役等を対象に、あらかじめ賠償額の上限を契約で定める
      ただし、これらの仕組みには手続き上のハードルがあったり、
    対象者が限られていたりと、実務上の制約が多いのが現状です。

ただし、これらの仕組みには手続き上のハードルがあったり、対象者が限られていたりと、実務上の制約が多いのが現状です。

  1. 3.今回の改正で何が変わるのか

    政府が検討しているのは、取締役が業務上の賠償責任を負った際の支払い額に、あらかじめ上限を設けるという制度です。
    改正の背景:「経営の委縮」を防ぎたい
    なぜこのような改正が必要なのでしょうか。
    企業が成長するためには、買収(M&A)や大規模な設備投資など、リスクを伴う経営判断が欠かせません。しかし、株主代表訴訟で巨額の賠償を求められるリスクがあると、取締役はそうした「大きな決断」を避けるようになります。

    これが「経営の委縮」と呼ばれる問題です。

    賠償額に上限を設けることで、取締役が必要なリスクを取れるようにし、企業の成長投資を促すのが今回の改正の狙いです。
    スケジュール感
    法務省の法制審議会(法相の諮問機関)が2026年度中に法案の要綱案をとりまとめ、2027年の通常国会への改正案提出を目指しています。現在、審議は鋭意進行中です。

  2. 4.中小企業・経営者への影響は?

    「これは大企業の話では?」と思われるかもしれませんが、そうとも言い切れません。
    株主代表訴訟は非上場の中小企業でも起こりえます。特に、複数の株主がいる会社では、経営者と株主の利害が対立するケースもあり、訴訟リスクはゼロではないのです。
    今回の改正の方向性は、取締役が適切なリスクを取れる環境を整えることを目的としています。これは、中小企業の経営者にとっても、経営に専念しやすい環境につながる可能性があります。

  3. 5.まとめ

    今回ご紹介した「取締役の賠償責任への上限設定」は、2027年の国会提出を目指して審議が続いている、まさに今の最新動向です。
    会社法は、法人を「設立して終わり」の法律ではありません。経営する限り、常に向き合い続けるルールです。法改正の動向を知っておくことは、経営者として非常に重要です。
    江森事務所では、法人設立から設立後の運営まで、法務面でサポートしています。「うちの会社の取締役のリスクはどうなっているの?」「役員の責任について定款で手当てしておきたい」といったご相談もお気軽にどうぞ。
    法人設立・会社法に関するご相談・お問い合わせはこちら https://emori–office.com/

※本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。法改正の内容は今後変更される可能性があります。最新情報は法務省の公表資料等をご確認ください。

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